もうすぐ

今年も終わりです。
今年はいろんなことがありました。列挙する余裕はありませんが、その中で一番大きかったのは、フランスに留学したことでした。
大学の講義を通して勉強したこともありましたが、それ以上に、いろんなところに旅をして、いろんな人と出会い、いろんな映画を見たりしたことは、自己の持つアイデンティティーや思想を相対化する一つのきっかけになったと思います。また同時に、それらは書物からは学ぶことができないものでありながら、より高次な自己へと向かうために必要であって、僕の血となり肉となっていくと思います。
このような貴重な経験の場を与えてくれた大学、諸先生方、そして両親に改めて感謝です。

そういえば、デカルトは以下のように述べていました。

 わたしは教師たちへの従属から解放されるとすぐに、文字による学問(人文学)をまったく放棄してしまった.そしてこれからは、わたし自身のうちに、あるいは世界という大きな書物のうちに見つかるかもしれない学問だけを探究しようと決心し、青春の残りをつかって次のことをした.旅をし、あちこちの宮廷や軍隊を見、気質や身分の異なるさまざまな人たちと交わり、さまざまの経験を積み、運命の巡り合わせる機会をとらえて自分に試練を課し、いたるところで目の前に現れる事柄について反省を加え、そこから何らかの利点をひきだすことだ.というのは、各人が自分に重大な関わりのあることについてなす推論では、判断を誤ればたちまちその結果によって罰を受けるはずなので、文字の学問をする学者が書斎でめぐらす空疎な思弁についての推論よりも、はるかに多くの真理を見つけ出せると思われたからだ。(デカルト 『方法序説』第一部)


文字による学問の研究を生業にしているので、それを全く放棄することはできませんが、修論がおわれば、ちょっとだけ放棄して世界という大きな書物の中に見つかるものを探求しにいきたいなと思います。

何が何でも修論仕上げよう。